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医師のWellbeing-centered Leadership実現のために コアメンバー:米田徳子

 日本の医療は、医師が自己犠牲をいとわず働くことで成り立ってきました。ようやく医師の働き方改革が始まり、「医師も人間らしい生活をしてもよい」と社会が許容しつつある、と時代の流れを感じています。

 私の父は外科医で、医学部進学も、産婦人科入局も「やめておけ。女の幸せ=結婚や出産はないぞ。」と反対されました。それでも自分の意思を貫き、産婦人科医として大学病院でキャリアをスタートした20数年前、研修医のみならず先輩医師たちも、当直明けも関係なく夜遅くまで働くのが当たり前でした。同期と「こんな生活はとても続けられない。10年後に先輩たちのようにはなれない、なりたくない。」と言いあったものです。

 当時の女性医師たちは、出産すると即戦力外通告、もしくは生き残るために男性医師と同等の仕事をしなければいけなかった。女性医師が産後に、出産前と同様の長時間労働をするのは極めて困難です。男女平等であるという教育をうけ、出産までは男女関係なく勉学や仕事に勤しんできた勤勉で優秀な女性医師たちが、夢であった医師としてのキャリアを中断するのはとても残念であり、国家にとっても損失です。これは育児・家事・介護が女性に重くのしかかる日本社会全体の問題でもあります。

 私は幸いなことに、出産後に職場と家族のサポートを得て復帰することができましたが、医師としても母としても中途半端だ、とずっと苦しんできました。数年前に富山大学附属病院女性医師支援室長の市田蕗子先生が「次の室長に」と私を推薦してくださったときも、「自分は室長にふさわしくない。」と、固辞しました。それでも市田先生は「あなたが適任だ。」と励ましてくださり、私は室長を引継ぐことを決心しました。現在は、”女性医師支援室”から”医師のダイバーシティ推進室”に名称を変え、キャリアアップ座談会の開催や復帰相談等を受けています。医師のダイバーシティ推進室 - 診療科・中央診療施設等 | 富山大学附属病院

 私自身も、大学や学会でのダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(DE&I)推進活動を通して、アンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)、インポスター「詐欺師」現象などについて学ぶことにより、キャリアアップを諦めたくない!という気持ちが強くなりました。ついには自分の殻を破り、夢だった海外留学も叶えることができました。

 WeLead Japan:日本リーダーシップ・ウェルビーイング医学会は、医師自らが健康で幸福だからこそ、患者さんに良い医療を提供できる、という概念のもと、ウェルビーイングとキャリア支援をおこない、医学系学会のDE&Iに関わる組織を横につなぐ活動をしています。自分自身も学びを深めながら、性別年齢関係なく全ての医師が生き生きと働きキャリアアップできるように、Wellbeing-centered Leadershipの実現を皆様とともに目指していきます。


 
 
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