リーダーを、ひとりで頑張らせない
―海外で知った、医師が「ソフトスキル」を学ぶ意味―
WeLead Japan コアメンバー
春回会 ながさきファミリークリニック/JACRA代表
小串 真澄
はじめまして。WeLead Japanコアメンバーの小串真澄です。現在は長崎で家庭医として働き、医学教育や若手医師のリーダーシップ支援に携わっています。
2024年秋から2026年春までは、日野原フェローとしてBeth Israel Deaconess Medical Center/Harvard Medical Schoolに留学しました。さらに、英国、オーストラリア、ノルウェー、スウェーデンなどの医療現場も訪ねてきました。
海外で驚いた「リーダーの当たり前」
海外で印象に残ったのは、日本ではまだ珍しい存在として語られがちな若手や女性のリーダーが、当たり前のように教育やチームを動かし、組織の意思決定に関わっていたことです。
海外にも格差や課題はありますが、そこにはリーダーシップ教育やメンタリング、相談できるネットワークがあり、少し先を歩く人が次の人に機会を渡していました。若手や女性が活躍するだけでなく、リーダーになるために学び、周囲がその成長を支えることも特別ではありませんでした。
「ソフトスキル」は学ぶことができる
日本では医学知識や臨床技術を学ぶ機会は多い一方、対話やフィードバック、交渉、周囲を巻き込む力などは、「見て覚える」とされがちです。
若手医師も後輩を教え、上司と交渉し、チームの問題に向き合います。こうした役割を、個人の資質や頑張りだけに任せてよいのだろうかと感じています。
私は海外での経験から、こうした力を学ぶことで、医師はもっとレジリエンスを高め、組織を良くする力を得られると確信しました。レジリエンスとは、つらい状況に耐え続けることではありません。自分の限界に気づき、助けを求め、周囲と対話しながら環境を変える力です。それは個人の才能ではなく、学び合う中で育てられるものだと思います。
この問題意識については、以前制作した動画「優秀な人材が、なぜリーダーに到達しないのか。―医療界における女性リーダーの推進―」https://academia.drsprime.com/contents/01K8PN0MHFDCNZ0XEMJSBQEYJS
でもお話ししました。
支える人を、どう支えるのか
こうした学びを日本でも増やしたい。その思いから、WeLead Japanに加え、JACRA(Japan Chief Resident Association)でも活動しています。JACRAでは、若手リーダーが仲間やメンターと現場の課題を話し合い、実践し、振り返る継続的なFDとつながりを提供しています。
先日のイベントでは、WeLead Japan代表理事の赤嶺陽子先生をお招きし、Wellbeing-centered Leadershipについて学びました。「周囲を支える人を、誰が支えるのか」という問いは、私自身にも残りました。リーダーが一人で抱えず、自らのウェルビーイングを大切にすることも、良いチームをつくるために必要なのだと思います。
学びを、新しい組織の現場へ
私は今、9月に開業する「ながさきファミリークリニック」の運営に関わっています。日々の対話や役割分担、フィードバックのあり方は、そのまま組織の文化になっていきます。声を上げやすく、一人ひとりがやりがいを持ち、燃え尽きずに働ける組織をどうつくるのか。学びを現場で試し、失敗も振り返りながら、組織を育てていきたいと思っています。
若手や女性がリーダーであることを、特別なこととして語らなくてよい医療界へ。リーダーを一人で頑張らせず、学ぶ機会と支え合えるつながりが当たり前にある医療界へ。WeLead JapanやJACRAで出会う皆さんと、その輪を少しずつ広げていきたいと思います。





